絵本・八方みらみねこ

夜寝る時に子供に読み聞かせをします。
図書館で絵本を数冊、借りてきて、その日の気分で選びます。

昨夜の絵本は「八方にらみねこ」



表紙の目力に惹かれてジャケ借り。

特に内容は気にせず借りました。
しかしこれまでジャケ借りした中では一番のヒットでした。

いや、子供の受けがすごかったのではなく
そこはいつも通りだったのですが、
私的には内容が素晴らしくヒットしたのです。

一匹の子猫の話です。
冬の寒い日に老夫婦に拾ってもらった猫、
老夫婦の仕事はカイコを育てること
しかし、カイコを食べにねずみがやってくる
猫はネズミを追い払おうとするが
ねずみに、なめられてやられてしまいます。
大切に育てたカイコを食べられ、老夫婦はひどく落ち込みます

優しい老夫婦のために
猫は修行のたびに出ます。
やまねこに弟子入り志願をするのです

そしてやまねこの出す厳しい試練を乗り越え
一年の月日を費やし、ついに
八方にらみの術を体得し、ねずみの大群をにらみ殺すのです。


絵本だからこそ、さらりと読めますが
この内容だったら、小説にもできそうなお話だと思います。

まず私がいいなと思ったのは
子猫が挫折を味わい、
そして乗り越えるべく
自ら最善と思われる方法を選び、
そしてその難しい試練に打ち勝つまで
けっして弱音を吐かず、
努力し続けるその姿に心を打たれました。

試練に耐え、強くなっていく、向上していくその姿。
最初はかよわい子猫の顔が、
ページをめくるごとに変わっていく様子は
読んでいて頼もしいものでした。

それを絵で表現できるのも素晴らしいと感じます。

そして何より、この子猫のベースとなっているものは
優しい老夫婦のために、がんばろうという気持ちです。

科学繊維などない時代
昔の養蚕業は今よりもすごく大変だったそうです。
重労働で、休む暇もなかったとか、
そしてねずみによる被害が大きく、猫もねずみ退治の一役を担っていました。

ねずみにやられ、そこで落ち込むのではなく
やられてすぐに決心します

「ねこだというのに、こんなことでは情けない
 ねずみどこも怖がっていた やまねこさまに 
 にらみの術というのを おそわろう」

とその日のうちに深い山へ旅立っていきます。

すぐに行動を起こすことや
老夫婦のために、そして自分が強くなるために、
試練を乗り越えた子猫の様子に心を打たれました。

最後にあった、ねみずよけのお札に描かれた子猫の姿。
今では私のスマホの待受画面になっています(^^)
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